カテゴリー:イロ・カタチ・映像
2008.12.4
アンドリュー・ワイエス展
今日、打ち合わせの帰りに寄ってきました。
じんわり、良かったです。
題材はアメリカの風景、ということですが、描かれているのは北部の地域ということ、そしてご本人が「季節なら秋と冬が好き」と語っているせいでしょうか。なんとなく寂しげで寒々しい印象を受けました。それでも、題材への深い愛着・愛情を感じるのです。
最終的な作品として完成した絵も、もちろん見応えがあったのですが、興味深かったのは並べて展示されている数々の習作。モチーフのディテールを、「本番」の絵よりもスケールアップして、丹念に描いているのです。
モノを作る時の組み立て方として「トップダウン」と「ボトムアップ」と二つの方向から詰めていくやり方を表す言葉があります。
習作の中にも、大まかな構図を検討するためのものと思われる「トップダウン」の方向を感じるものと、細かいディテールを一つ一つ自分の手にとって確かめていくように描いている「ボトムアップ」の方向を感じるものがあり、それらを紡ぎ合わせて絵を完成さえていっているような印象も受けました。
また、習作の方が現実味のある「手で触れられそうな表現」であるのに対して、完成した絵の方が幻想的で何かの呪縛から解放されたように感じるものもありました。
Bunkamuraでの展覧会は12/23まで開催されています。その後、愛知県美術館、福島県立美術館と巡回するようです。興味のある方は是非。
アンドリュー・ワイエス−創造への道程(みち)
開催日程:2008年11月8日(土) – 12月23日(火)
会 場:Bunkamura ザ・ミュージアム
2007.12.10
海の中:歩行者用
その場所は夜になると真っ暗になるのです。
横断歩道があって、信号もあるんだけど
車も滅多に通りません。
本当は
信号なんてつけなくてもよかったのかもしれません。
あるいは
昼間通学する子供達のためについているのでしょうか。
いずれにしても
夜の信号は退屈そうに
暗闇の中で「ぼう」と光っていたのです。
歩行者用の押しボタンを押します。
「ほら、仕事だよ?」
信号たちは、にわかに気ぜわしくなってきます。
空気の色が変わります。
日頃見慣れているはずの青い光は、
赤い暗闇を一変させたのです。
「海の中、みたいだね」
つかのまの海中散歩。
そして空気はもとに戻っていきました。
2007.12.8
メーテルリンク錠
道ばたに白いタブレットが落ちていました。
よくよく辺りを見渡すと、
ここにも。あそこにも。
アスファルトの上だったので、
小さな白い粒も何とか見つけることができます。
誰かが落としてしまったのでしょうか。
チルチルとミチルを家まで導いたパンのかけらのように
帰路の目印になっているのでしょうか。
それとも、
誰かをどこかに誘っているのでしょうか?