カテゴリー:夢想と幻想
2005.8.4
カタツムリ
道ばたでカタツムリに会った。
これからオペラを観にいくとのこと。
オペラ?私は一度も観たことないんだけれど。
「なかなか良いものですよ」
どんなものが好みなの?モーツアルトとか?
「なんだっていいんです」
「あれって物凄い声量でしょ?
それによって私の殻は振動するんです。
ぶるぶる、って。
その振動を受けて私の身体も揺れるんです。
ぷるぷる、って。」
他のコンサートじゃダメなの?
「いろいろ試してみたけれど、
やはりオペラが一番なのです。
なんて言うか、ほどよい塩梅ってヤツですかね」
「中でもソプラノの振動が好きなんです。
小刻みで、きめ細やかな振動に包まれる感じが」
「一時、仲間うちでも流行ったことがありまして。
ひしめきあって観ていました。
でもね、ここって波がきた時に
隣の方の殻と自分の殻が
ぶつかってしまうこともあったのです」
「ふわっとした振動に包まれていたと思ったら、
突然、隣の殻とぶつかる『ごつん』という音。
いきなり現実に引き戻されるのです」
「正直言って、残念でした。
みんながこの楽しみをわかってくれるということは
嬉しかったんですけどね」
「最近はそんなことはありません。
思う存分、振動に浸ることができます」
「あ、そろそろ行かないと」
楽しんで来てね。
ヌラヌラした粘液を引きずりながら去って行く彼を見送った。
【旧 Short Tripより 2001.10.21】
2005.7.27
区切られた空と皮膚病のイルカ
つい居眠りをしてしまった時に夢を見た。
何かのドキュメンタリーの様な映像だった。
最初に見たのは「区切られた空」を追い求める人の話。
大気の状態や天文学の知識を駆使して理想の空を探す。
木の枝の間から見える空だったり、窓の外の空だったり。
彼はそれを写真に撮ろうとしている訳ではなく、
ただ「観る」だけ。
次に見たのはイルカの皮膚病の映像。
藤壺状で、赤いものと青いものがあった。
・・・あまりにも痛々しい。
水の色が綺麗だった。
アヴェ・マリアが流れていた。
【旧 Short Tripより 2001.01.02】
2005.7.25
しかく
角がとれたのではななくて
いびつなものでもなくて
きりっとひきしまった
「しかく」という感じの「しかく」
「さんかく」と「しかく」はどっちが「まる」に近いの?
買い物の帰りに聞いてみた
暑い日だった
アスファルトからジリジリと熱気が伝わってきていた
そう、おそわった
お月さまは、まるいの?
でも、お月さまは「さんかく」になっていくよ
昼間のお月さまは?
昼間のお月さまを描いてみた
【旧 Short Tripより 2000.11.10】