2007.12.10
海の中:歩行者用
その場所は夜になると真っ暗になるのです。
横断歩道があって、信号もあるんだけど
車も滅多に通りません。
本当は
信号なんてつけなくてもよかったのかもしれません。
あるいは
昼間通学する子供達のためについているのでしょうか。
いずれにしても
夜の信号は退屈そうに
暗闇の中で「ぼう」と光っていたのです。
歩行者用の押しボタンを押します。
「ほら、仕事だよ?」
信号たちは、にわかに気ぜわしくなってきます。
空気の色が変わります。
日頃見慣れているはずの青い光は、
赤い暗闇を一変させたのです。
「海の中、みたいだね」
つかのまの海中散歩。
そして空気はもとに戻っていきました。