2007.12.2
早く帰っておいで暗くなるから
僕の子供時代木々は緑で
何もかも珍しかった早く帰っておいで暗くなるから
おとうさんの作った壁は叩くと音が響いた
おとうさんの襟は裏返しだった早く帰っておいで暗くなるから
おかあさんは黄色い服を着ていた
優しく、優しく、微笑んだ早く帰っておいで暗くなるから
僕が五歳の時黒い夢がやって来た
それから世界は変わってしまった早く帰っておいで暗くなるから
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フレデリック・ルイス・マクニース『自伝』より
『現代アイルランド詩集』より
いまさら、ですが。
詩を別の言語に翻訳するのは、本当に難しいと思うのです。
「古池や 蛙飛び込む 水の音」の意味だけではなく5-7-5のリズムと雰囲気を同時に訳すのは無理なのでは?と思ってしまうように。
ところで、この「古池や 蛙飛び込む 水の音」ですが、何人もの方が雰囲気を伝える訳を試みているようです。
こちらのサイトで紹介されていて知ったのですが、『One Hundred Frogs』という本には、なんと百種類以上の「古池や」の英訳が載っているとか。すごい!
変わり種な訳もあって、結構おもしろそう。
* * *
話がそれてしまいましたが、冒頭の詩。
「早く帰っておいで暗くなるから」というフレーズを繰り返し出すことで、失われてしまった穏やかな日常が感じられます。言葉として表されていると同時に、構成とリズムでも切なく伝わってきます。
ストラクチュアとして刻まれた想いは、翻訳しても失われることなく・・・。
* * *
なーんとなく。
parsley sage rosemary and thyme.