2007.3.27
遺伝子の中の記憶
遺伝子を介して
自分の親から身体的な特徴や性質を受け継ぐ
それは一般的なお話
もしも受け継がれた要素の中に
密かに先祖の「記憶」が含まれているとしたら?
* * *
道を歩いていた
突然ある旋律が頭の中に流れる
聴いたことがあるような、ないような、不思議な旋律
ある日、親戚の家の倉の中から
先祖が残したものだと思われる
不思議な記号が記されている古い文書が見つかる
それは楽譜の一種だった
よく知る音符に置き換えてみる
聴き覚えのある旋律
それは、あの不思議な旋律だった
* * *
遺跡から穀物の種が見つかる
一見、小石のようになってしまっていても
まだ種は生きていた
栽培して増やして、
当時に近いやり方で調理してみる
口に含むと素朴な味がした
ボソボソしているように感じたけれども
かんでいるうちにホンノリ甘味が出てくる
「○○○○○」
自分の知らない呪文のような言葉が口をつく
いにしえの、日々の糧への感謝の言葉
* * *
海の中で皮膚の内と外が曖昧に感じる瞬間
星空の下で妙な懐かしさを感じる瞬間