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2007.3.11

幽体離脱式タイムスリップ

・・・と言っても夢のお話。

実体はそのまま現代に残って
魂だけがすーっと抜けていく。
これなら別の時代に行っても歴史は変わらない。
よくできてるなぁ、と夢の中で感心した。

始めてのタイムスリップで行ったのは
江戸時代だった。

お百姓さんが鍬で畑を耕している。
それを私の意識はプカプカと宙に浮いて見ていた。
一日中、見ていた。

二度目は平安時代。
なぜか紫式部の頭の中に入っていた。
日々、生活する。
物語りを組み立てる。
それを書く。

そんな日常。

三度目は長い夢だった。
インカ文明が発生してから滅亡するまでを見た。
最初は小さな集落だった。
少しづつ人が集まりはじめ、
そしてあの、
今では遺跡になってしまっている建造物を造るまでに成長する。
文明は繁栄する。

しかしそれもスペイン人がやってくるまでのこと。
偉大な文明は消えた。

目が覚めた時、私は泣いていた。

そんな夢を見ていたのは、私がまだ高校生だったころのこと。
その後、見た覚えはなかった。

それが今朝、久しぶりにタイムスリップの夢を見た。
それも、初めて未来へ行ったようだ。

文明崩壊後の世界、らしい。
人はまばらだった。
それでも意外とのどかに生活している。

一人の男に会う。
植物の絵を描いていた。
画家、というよりも
イラストレーター、と言った方がよいかもしれない。
そんな作風だった。

画面いっぱいに植物を描いていた。
毎日描いていた。

トンネル跡のような場所が、ちょっとした市場になっていた。
市場、というほどの大きさではない。
露店が2つ、3つ、立っているだけだ。

男はそこで買い物をする。
何を買っていたかは覚えていない。
しかし、その時差し出された紙幣は見覚えのあるものだった。

福沢諭吉が描かれた1万円札。

ヒヤリ、とした。
それは、私達の文明がなくなってしまうのは
そう遠い未来の話ではないのかもしれない、
と思わせるものだった。

覚えているのはここまで。

【旧 Short Tripより 2002.06.04】