2007.3.4
シャーレの中の楽園
昔、読んだ物語。
人々はシェルターの中で暮らしていた。
地球の環境は、普通に暮らせないくらい悪化してしまったから。
人はシェルターの外に出ては生きていけない、
そう聞かされていた。
禁を犯してシェルターを抜け出してみる。
そこで見たものは、むせかえるような緑の世界。
シェルターは環境から人間を守るためのものではなかった。
人間から環境を守るものだったのだ。
* * *
ガラスの中の生態系。
水があって土があって。
植物が育ち、生き物が住む。
閉じられた小さな世界。
* * *
海に囲まれた島国。
そんな端っこの国から来た私でも
何度も異国で道を尋ねられたことがある。
いかにも東洋的な顔をしているにもかかわらず。
「アナタ達の言葉、ワカリマセン。ゴメンナサイ」
そう伝えるのが精いっぱいだった。
この国に住む異国の人の中に、
どのくらい道を尋ねられたことのある人がいるだろう。
* * *
地球自体にも「質量保存の法則」は適応されるのだろうか。
厳密には少し違うかもしれないが。
宇宙空間に運び出される物質がある。
宇宙から飛来する物質がある。
その均衡が、耐えきれないくらい崩れることはないのだろうか。
* * *
時代の流れに取り残された隠れ里。
独特な町並みが残っている。
古の権力者たちから強制されたものかもしれない。
一番、手に入りやすい素材を使った
精いっぱいの意匠だったかもしれない。
それでも、他の町が失った
かけがえのないものを保っている。
* * *
ケルトの末裔の詩人は語る。
「私は社会に適応するために、第二の皮膚を手に入れました」
「第一の皮膚」だけでは
ナイーブな感性を持つ己を守ることができないと悟り、
努力して手に入れた「第二の皮膚」
* * *
オーストラリアの有袋類。
ガラパゴスの生き物たち。
環境条件や、天敵がいなかったからこそ生き残れた
もしくは環境に適応して独自の変化をとげた生き物たち。
* * *
原初の宇宙はもっと小さかったという説がある。
「今でも宇宙は膨らみ続けているんだよ」
「宇宙」の外には何があるのだろう。