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2005.4.7

映画修行

実は映画が苦手です。それがコンプレックスだったりもします。

でもね。時々「動く絵」を作るってこともあるし、レンタルなどでお手軽にいろんな作品を見ることができるんだし、ということで、時々一念発起して「映画を見よう!」と意気込んでみたりもするんです。

基本的に、何かを鑑賞する時にはかなり集中する方です。「これは!」と思う音楽を聴くときは、何かをしながらとかではなくて、本当にそれだけに集中して聴くし、集中して本を読む時には音楽を聴きながら、なんてことはできません。展覧会で気に入った作品があると、前後不覚になるくらい集中して鑑賞します。目玉だけが空中に浮いているような感覚。

映画って、いっぺんにいろんな情報が流れ込んでくるものです。ストーリも映像も音楽もコトバも。それが、相手のペースで「わ!」と来て、しかも2時間前後集中しつづける、となるとかなりグッタリしてしまうのです。

以前、仕事で動画を撮っている人に聞いてみたことがあります。
「ずっと集中して撮るってどんな感じ?」

静止画を撮る時よりも緩く流している、とその人は言っていました。
ライフルとマシンガンの違いみたいなものでしょうか。どっちも撃ったことないけど。

数ヶ月前にDISCASに入会しました。ネットで借りるDVDを選べるので便利です。(品揃えにまだまだ物足りなさはありますが)立て続けに見ているうちに、少しづつ映画を見る時の力の抜き方がわかってきた気がします。下戸の人が、お酒が飲めるよに少しづつ慣らしていっているようなものです。たぶん?!

ここ数ヶ月でいろいろ見てみて、好きだなぁ、と思ったのはこんな感じ。

10ミニッツ・オールダー RED
「7人の映画監督が“結婚・誕生・進化・孤独・死・運・郷愁”という誰にでもいつかは訪れる出来事を題材に、人生の意味を10分間の一場面に凝縮して描く」(作品紹介より)

ヴィクトル・エリセの「ライフライン」がダントツに好きでした。淡々とした表現の中に、小さな赤ちゃんの儚い命をみんなで大切にしていく感じが、ふわっと伝わってきます。10ミニッツ・オールダー GREENはこれから見ます。

コーカサスの虜
「トルストイの原作を、チェチェン紛争時の同地に変えて映画化した問題作」(作品紹介より)

トルストイの時代も、さらに昔も、今も、世界のあちこちで起こっているもめ事は、こんな感じのささいなすれ違いから起こってきたんだろうなぁ・・・。

スモーク
「アメリカを代表する作家ポール・オースターが書き下ろした原作を基に、男たちの中に隠された哀しいロマンティシズムを描いた都会の物語」(作品紹介より)

ポール・オースター、小説は以前にいろいろ読みました。『ムーンパレス』とか好きだったなぁ。実は映画は見たことなかったんです。で、『スモーク』。オムニバス形式になっていて、それぞれが何となくつながっていて、いろんな人の立場から見る、フとした日常。煙草屋の店長の撮った、同じ時間にとり続けた店の前の写真を見るシーンが好きです。なんとなく池澤夏樹の『スティル・ライフ』の山のスライドを見るシーンを思い出しました。

グッバイ、レーニン!
ベルリンの壁崩壊時の東ベルリンが舞台。かつて日本も価値観の崩壊する出来事を味わっているはずですが、私たちの世代としてはそれはすでに「歴史」でした。主人公のアレックスは私と同じくらいの年代なのでしょうか?お母さんにショックをあたえないように奔走する姿が微笑ましかったです。ヤン・ティルセンの音楽とも合ってます。

ザ・カップ 夢のアンテナ
「ヒマラヤ山麓の僧院で修行に励む若い僧侶たちがサッカーのワールドカップの中継に夢中になる姿を描いた異色コメディ」(作品紹介より)

監督も出演者もホンモノのお坊さん。それでこの出来は凄いです!たしか、主人公の少年は監督の息子さんだとか。音楽もよかった。サントラあったら買うのになぁ〜。見つけられませんでした。残念!!!

HR
「定時制高校を舞台に、教師と生徒との日常を描いた、鬼才・三谷幸喜によるシチュエーションコメディ」(作品紹介より)

結構、コメディも好きです。普通のテレビドラマでも映画でも舞台演劇でもない、独特なテンポ。舞台で活躍している俳優さんたちもかなり出演しているようですが、「初日かつ楽日」という状況が新鮮だったみたいです。中村獅童のシャイな笑顔が結構ツボ。(笑)